事故で修理歴のある車を売る際に、査定額がどのくらい下がってしまうのか不安に感じていませんか。事故車は一般的に無事故車と比べて評価額が大きく下がりがちですが、その下がり幅は車種や事故の程度によって様々です。
この記事では、事故車の査定額はどれくらい下がるのか、その理由と対策について、2025年の最新情報を交えて詳しく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、愛車を少しでも有利に手放す参考にしてください。
目次
事故車の査定額はどれくらい下がるのか?
事故車の査定額は状態によりますが、無事故の同程度の車に比べて約30万円前後低くなることが一般的です。つまり、事故歴があるだけで査定額が大幅にマイナスされる傾向にあります。ですが、減額の幅は事故の程度や車種によって大きく異なり、一概には言えません。以下で、査定における事故車の定義や、具体的な下落幅の目安について詳しく見ていきましょう。
査定における事故車(修復歴車)の定義
中古車業界で「事故車」とは、単に事故を起こした車という意味ではなく、車両の骨格部分(フレームやピラーなど)に修復歴がある車両を指します。骨格部分にまで損傷が及び修理・交換された場合、公式に「修復歴あり」となり、市場では事故車扱いとなります。一方で、ドアやバンパーの交換など骨格に影響しない修理のみの場合は「修復歴なし」とされ、事故で修理歴があっても査定上は事故車と見なされません。
要するに、フレーム修正を伴うような大きな事故歴があるかどうかがポイントになります。例えば、外装のこすり傷程度で板金塗装しただけなら査定への影響は軽微ですが、フレームまでゆがむような事故だと大きな減額は避けられません。
事故車の査定額の平均的な下落幅
では、事故車の査定額は平均してどの程度下がるのでしょうか。2025年現在の中古車買取市場のデータでは、修復歴のある車は査定で約30万円のマイナスになるとされています。実際、多くの買取業者も「同じ車種・状態なら、修復歴があるだけで数十万円規模の減額になる」と明言しています。
もちろん車の元々の評価額によって減額幅は変動しますが、一般的な相場感として30万円前後が一つの目安です。これは元の評価額にもよりますが、おおよそ10~20%程度の価値減に相当します。例えば、無事故なら200万円で売れるような車でも、事故歴が付くと約170万円程度に下がってしまう計算です。
軽自動車と普通車で異なる減額幅
事故車の減額幅は、車の種類や車格によっても差があります。一般的に、軽自動車よりも普通乗用車の方が事故歴によるマイナス額は大きくなる傾向があります。具体的には、軽自動車では修復歴ありで約20万円前後、普通車では約30~50万円程度の減額になるケースが多いです。軽自動車は車両価格自体が低めな分、事故による価値下落も相対的に小さく抑えられます。
一方、普通車や高級車では車両価格が高い分、事故歴による減額幅も数十万円規模に達しやすく、車種によっては50万円以上下がる例もあります。高額な車ほど「無事故」に対するこだわりも強いため、事故歴が付くと極端に買い手が付きにくくなり、その結果として大幅な価格低下につながるのです。
軽度な事故(修復歴なし)の場合の査定への影響
前述のように、修復歴が付くような大事故では査定額が大きく下落しますが、軽度な事故の場合はどうでしょうか。骨格部分に影響しない修理、例えばバンパーやドアの交換・塗装程度で済んだケースでは、査定への影響はごく小さいか、ほとんど無い場合もあります。修復歴が「なし」と判断されれば、その車は査定上は無事故車と同等に扱われるためです。
ただし、軽微な修理でも、修理跡が見た目で明らかに分かる場合や、塗装ムラが残っているような場合には多少の減額要因にはなり得ます。また、小さな傷やへこみをあえて修理せず残していると、その分は減額対象になります。しかしそれらはあくまで数万円程度の範囲であり、フレーム修正を伴う事故歴による減額(数十万円規模)とは大きく異なります。愛車が軽い事故に遭った場合は、「修復歴あり」に該当しない限り、過度に心配しすぎる必要はないでしょう。
車の状態 | 査定額の下落幅(目安) |
---|---|
軽自動車(骨格損傷あり) | 約20万円の減額 |
普通車(骨格損傷あり) | 約30~50万円の減額 |
軽度な損傷(骨格損傷なし) | 減額なし~数万円程度 |
事故車の査定額が下がる理由
では、なぜ事故車はここまで査定額が下がってしまうのでしょうか。その背景には、主に中古車市場での需要や安全性に対する懸念が関係しています。ここでは事故車の評価が低くなる主な理由を解説します。
安全性・品質への不安
大きな事故を経験した車両に対しては、どうしても安全性や品質面での不安が付きまといます。修理によって外見は元通りになっていても、フレームを修正した車は新品時と比べて構造的な強度が万全ではない可能性があります。走行に支障がなくても、事故の衝撃で生じたわずかなゆがみが将来異常な負荷をかけ、思わぬ故障につながるケースも考えられます。
また、修理箇所の塗装や部品交換の品質が純正出荷時と同じレベルか疑問視されることもあります。こうした見えない部分のリスクがあるため、買い手は事故歴ありの車に対して慎重になり、結果的に中古市場での評価額が低くなります。
中古車市場で敬遠されるため
事故歴のある車は、中古車を探す多くの人に敬遠される傾向があります。中古車情報サイトでも「修復歴なし」の車と「修復歴あり」の車が並んでいれば、やはり修復歴なしの方が人気が高いのが実情です。たとえ修理できれいに直っていても、「一度大きな事故を起こした車」という心理的なマイナスイメージは拭えません。
結果として、事故車は需要が少なくなり、市場相場も低く抑えられてしまいます。売る側(買取業者)としても、買い手が付きにくい車を高値で在庫として抱えるわけにはいかないため、査定時点で大きく減額せざるを得ないのです。
買取業者が再販時のリスクを考慮するため
事故車は買取業者にとっても再販リスクの高い商品です。買取業者は買い取った車をオークションや自社販売でさばいて利益を出しますが、事故歴ありの車はオークションでも落札価格が低くなりがちです。業者によっては、自社の販売店で事故車を扱わず、専門のオークションに流すケースもありますが、その場合どうしても低い価格でしか売却できません。
また、販売後に隠れた不具合が発覚してクレームになるリスクも高いため、保証を付ける中古車販売では事故車を嫌がる傾向があります。買取業者はこうしたリスクや将来の販売価格の低さを見越して、その分を差し引いて査定額を提示します。つまり、「買い取った後に損をしないギリギリの金額」が提示額となるため、結果的に大幅なマイナス査定となってしまうのです。
事故車の査定額低下を抑えるための対策
それでは、事故歴のある車でもできるだけ査定額の低下を抑え、少しでも高く売却するにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは、事故車を手放す際に取るべき対策や工夫について解説します。
事故車は修理してから売るべきか?
まず悩む方が多いのが、「壊れた箇所を修理してから売った方が良いか」という点です。これについてはケースバイケースですが、基本的には直せる損傷はきちんと修理してから査定に出すことをおすすめします。外見上の大きなへこみや傷が残ったままだと査定士の印象も悪く、事故歴とは別にマイナス評価となるためです。
軽度な損傷で修復歴が付かない場合は、きれいに直してしまえば事実上「無事故車」として扱われる可能性もあります。一方、フレーム損傷があるような重大な事故の場合は、すでに修理済みであっても「修復歴あり」は避けられません。
しかし、その場合でもディーラーの認定工場や信頼できる工場で適切に修理してもらったほうが良いでしょう。修復の程度によっては、修理明細や写真などを見せて「きちんと直した」ことをアピールすれば、買い手の不安を多少なりとも和らげることができるためです。逆に、修理せずに故障箇所が残ったままでは買取業者でも値段が付けられない場合があるので注意してください。
事故車をディーラーに下取りに出すのは不利
事故歴のある車を売る際、購入予定の新車ディーラーに下取りに出すのはあまり得策ではありません。ディーラー下取りでは、事故車はほぼ評価額が付かないか、極端に低い金額になりがちです。ディーラーは下取り車を自社の中古車として再販するケースが多いですが、自社ブランドの品質基準から事故歴ありの車は販売しにくいため、まともな査定額を付けられないのが実情です。
場合によっては、「この車は事故歴がありますので下取りでは値段が付きません」といった扱いをされてしまうこともあります。そのため、事故車を手放すならディーラーではなく買取専門の業者に売却する方が有利です。買取店であれば事故車であっても商品として扱い、できるだけ高く売ろうとしてくれるため、下取り0円と言われた車にも値段が付く可能性があります。
複数の買取業者に査定依頼して比較
事故車を少しでも高く売る鉄則は、複数の買取業者に査定してもらい、価格を比較することです。1社だけの査定額で即決してしまうと、本当はもっと高く買ってくれる業者があったのに見逃してしまうかもしれません。事故歴のある車は業者ごとに評価が分かれやすく、提示額にも差が出やすい傾向があります。
例えば、ある業者では「修復歴ありなので20万円減点」と機械的に低査定でも、別の業者では「需要のある車種だから」と高めの値段を付けてくれる場合もあります。また、海外にも人気の車種であれば、輸出ルートを持つ業者は高値を付けやすいです。複数社に当たることで競争原理が働き、結果的に査定額が引き上がることも期待できます。最近ではインターネットの一括査定サービスや、事故車専門のネット査定などもあるので、そうしたものもうまく活用すると良いでしょう。
事故車買取の専門業者を活用する
大きな事故で車が大破した場合や、動かない状態になってしまった車を売るには、事故車・廃車買取の専門業者を利用するのが有効です。事故車買取業者は事故歴ありや不動車、ボロボロの車でも買い取ってくれるところが多く、独自の流通ネットワークで解体業者や海外の中古パーツ市場に販売するルートを持っています。
そのため、ディーラーや通常の買取店では値段が付かないような車でも、専門業者なら数万円程度の値段が付くケースがあります。実際、「廃車同然」と思われた車でも、業者によっては0円以上で引き取ってくれたり、廃車手続きやレッカー代を無料で対応してくれたりします。事故車を処分する際は、こうした専門業者のサービス内容や買取実績を比較検討し、最も条件の良いところにお願いすると良いでしょう。
なお、個人間で事故歴を隠して車を売ることは法律的にもトラブルの原因になります。専門業者に依頼する場合でも、事故歴や修復歴は正直に申告することが大切です。その上で、きちんと交渉すれば「事故車だから価値がない」とあきらめずに、できる限り納得できる価格で手放すことも可能です。
最後に、事故車を売却する際に実践したいポイントを簡単にまとめます。
- 修理できる損傷は事前に修理し、車をできるだけ良好な状態に整える。
- ディーラー下取りを避け、事故車でも買取実績のある専門業者や買取店に依頼する。
- 複数の業者に査定を依頼し、提示額を比較。競争で査定額アップを狙う。
- 事故歴・修復歴は隠さず正直に伝え、適切な書類(修理明細など)があれば用意する。
まとめ
事故車の査定額は、同程度の無事故車に比べて大きく下がってしまうのが一般的です。その下がり幅は平均で約30万円前後にもなり、車種や事故の程度によってはそれ以上の減額となる場合もあります。修復歴が付くような大きな事故では避けられない減額ですが、骨格に影響しない軽い修理で済んだ場合には、査定への影響がほとんど出ないケースもあります。
査定額が下がる主な理由は、安全性への不安や中古市場での需要低下に加え、買取業者側が再販リスクを織り込むためです。買い手にとって事故歴ありの車は敬遠されがちであり、どうしても市場価値が低くなってしまいます。とはいえ、「事故車=値段が付かない」と悲観する必要はありません。
事故車でも適切な対策をとることで、できる限りの高値で売却することは十分可能です。事前に修理できる箇所は直し、複数の買取業者で査定競争させることで査定額アップが期待できます。また、事故車買取の専門業者を活用すれば、廃車同然と思われる車にも値段が付く場合があります。2025年現在、事故車の処分ルートは充実してきていますので、諦めずにベストな売却方法を探ってみてください。最後までお読みいただきありがとうございました。