愛車を売る際に下取りに出すか、買取専門店に売るかで迷う方は多いでしょう。実は、下取りと買取では査定額に大きな差(差額)が生じることがあります。
最新の調査では、買取の方が下取りより平均約26万円も高いという結果も報告されています。
本記事では、下取りと買取のメリット・デメリットに触れながら、両者の価格差が生まれる理由をわかりやすく解説します。さらに、下取りと買取では手続きや支払い方法にも違いがあります。
記事の後半では、後悔しない車売却のポイントも紹介します。
目次
下取りと買取の差額はどれくらい?
下取りと買取では、同じ車でも査定額に大きな差が出ることがあります。この価格差の背景には、取引方法や査定基準の違いがあります。下取りは新車購入とセットで行われるため、ディーラーは新車販売で利益を確保する前提で下取り価格を設定します。
一方、買取は中古車の市場価値が重視されるので、買取店は車体そのものの状態や需要を基に査定を行います。そのため、結果的に買取額の方が高くなる傾向があるのです。
下取りと買取の価格差の実態
実際の価格差を見てみると、下取りよりも買取の査定額が大幅に高くなるケースが多く報告されています。ある調査では、買取額が下取り額を平均で約26万円上回ったという結果が出ています。
さらに、高く売れた事例では30万円以上の差がついたケースもありました。このように同じ車でも、売り方次第では数十万円の差額が生じることがあるのです。
例えば、走行距離が多い古い車両でも、買取店によっては海外輸出ルートなどを活用して値段がつく場合があります。しかし、ディーラー下取りの場合は車種によってはほぼ価格が付かないこともあります。差額が大きく出た場合は、その原因を把握し、次回の売却に活かすと良いでしょう。
差額が生まれる主な要因
下取りと買取で差額が生まれるのは、主に査定の仕組みや業者側の事情が異なるためです。下取りでは、新車の値引きに下取り価格を組み込む関係上、ディーラーは利益分を上乗せして査定額を低めに抑えます。
一方、買取店では車をそのまま中古車として販売するため、車両の市場価値に基づいた査定が行われます。ディーラーは下取り車の再販コストを考慮しなくてはならないのに対し、買取店は直接買い取った車を販売することで利益を得るため、高額査定が付きやすいのです。
また、交渉の方法にも差が出ます。下取りの場合、他社の査定額を持ち込むと交渉で引き上げてもらえる可能性がありますが、ディーラーは下取り車への過度な上乗せには応じにくい傾向があります。一方、買取店では一度売却が成立するとお金を自由に使えるため、早く契約してもらうために条件を出してくれる場合もあります。こうした交渉力も差額が生まれる要因となっています。
下取りと買取、それぞれの違いを解説
まず、下取りと買取の基本的な仕組みを確認しましょう。以下の比較表は、両者の主要な違いをまとめたものです。
下取り | 買取 | |
---|---|---|
取引先 | 購入する販売店のディーラー | 中古車買取店や専門業者 |
取引形態 | 新車購入と同時に車を売る | 車単体で売買契約を結ぶ |
価格傾向 | 相場より低めになりがち | 相場に近い高額査定も期待できる |
支払い | 新車代金から差し引かれる | 現金または振込で受け取る |
メリット | 手続きが簡単で手間が少ない | 高く売れやすく自由な資金用途 |
デメリット | 査定額が低めになる | 手続きが煩雑で相場に左右されやすい |
下取りとは?
下取りとは、新車や中古車を購入する際に、購入店(ディーラーなど)に現在の車を引き取ってもらう方法です。下取りの場合、車の査定額は次に購入する車の支払いに充当されます。
ディーラーは下取り車を自社で再販する場合が多く、再販時の整備コストや利益分を考慮して査定額を設定するのが一般的です。しばしばその車種の中古車市場価格よりも低めの査定額になりやすいことに注意しましょう。
買取とは?
買取とは、新車購入に関係なく、車を単独で売却する方法です。買取店(中古車専門店など)に車を持ち込むか出張査定を依頼し、査定額に納得すれば現金などで買い取ってもらいます。
買取の場合、車両単体の市場価値が重視されるため、人気車種や装備がきちんと評価されやすいのが特徴です。査定を通じて提示された金額はそのまま支払われるため、売却後は自由にその資金を活用できるメリットもあります。
下取りと買取のメリット・デメリット
次に、それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。売却の目的や状況に応じて得意な方法が異なるので、比較検討することが大切です。
下取りのメリットとデメリット
下取りの主なメリットは手続きが簡単で手間が少ないことです。新車購入と売却をディーラー1店舗で同時に進められるので、書類手続きや引き渡しが一本化されるのが便利です。納車と同時に古い車を渡せるため、タイミングを合わせる手間もありません。
一方デメリットは査定額が比較的低くなる点です。査定額は新車の値引き交渉の一部とみなされるため、買取店で得られる金額より低く設定されがちです。
また、下取りは車を乗り換える場合にしか利用できないため、単独で車を売りたいタイミングでは使えない、という制約もあります。
買取のメリットとデメリット
買取のメリットは、高値で売れる可能性が高いことです。買取業者に査定を依頼し、複数社から最も高い額を選べるため、下取りよりも高い価格がつきやすくなります。売却後のお金は手元に自由に残るため、資金用途を気にせずに利用できる点も魅力です。
デメリットとしては、手続きに手間がかかる点があります。複数の店舗とやり取りをすると、査定の日程調整や見積もり対応が増えるため時間がかかります。
また、買取価格は中古車市場の需給動向に敏感で、タイミング次第では査定額が低くなるリスクもあります。
査定額に影響する要因は?
査定額は取引方法だけで決まるわけではありません。実際には車両自体の状態や市場環境にも大きく左右されます。ここでは、査定額に影響する主な要因について解説します。
車両の年式と走行距離
年式が新しく走行距離が少ないほど、査定額は高くなる傾向があります。一般的に車は購入後最初の数年で価値減少が大きく、5年落ちを超えると相場が大幅に下がります。年式が古く、走行距離が多い車は買取店でも査定額が低くなるため、下取り額もほとんど付かないケースがあります。特に下取りでは年式が古いと価格がつかないことがあるので、車齢が進んでいる場合は積極的に買取店での査定も検討すると良いでしょう。
人気モデル・装備の影響
人気のある車種や充実した装備は査定額を押し上げる要因です。SUVやミニバンなど需要が高いジャンルの車は、市場でも買い手が多いため、買取価格も高く評価されやすいです。
また、ナビゲーションやETC、オプションのアルミホイールなど魅力的な装備が付いているとプラス査定になります。
一方、ニッチな車種や装備が少ない車両は需要が限られるため、相対的に査定額が下がることがあります。買取店はこうしたアピールポイントを細かく評価してくれるので、人気車や高装備車は買取に出して差額メリットを得られる場合が多いです。
市場の動向や季節要因
中古車市場は常に変動しており、需要と供給のバランスも査定額に影響します。たとえばモデルチェンジ後の旧型車や、中古車の在庫が増加しているときは相場が下がりやすいです。
また、季節要因も見逃せません。夏場にはオープンカーやスポーツカーの需要が高まり、冬場には4WDやスタッドレスタイヤ装備車の需要が増えます。こうした市場環境の変化によって、査定額は売却時期によって大きく変わることがあります。
下取り・買取で損しない車売却のコツ
車を高く売るためには、下取りと買取の両方を理解したうえで準備と交渉を行うことが大切です。最後に、損をしないための具体的なコツを紹介します。
一括査定サイトを活用する
複数の買取店に査定を依頼できる一括査定サイトを利用すると、簡単に査定額を比較できます。一度の入力で複数社と連絡が取れ、各社から見積もりを受け取れますので、競合させてより高い額を提示してくれる業者を選びましょう。
一括査定を利用すれば、下取りだけでは見えない車の相場感がつかめます。複数の査定額を比較して交渉材料にすることで、より有利な条件で売却できます。
車両を適切に整備・清掃する
査定前には車をしっかりときれいにしておくことが重要です。外装は洗車やワックスがけなどで磨き、内装は掃除機でシートやフロアマットの埃やゴミを除去しましょう。エンジンルームまわりや車内のペット跡や汚れに気を配り、全体的に良好な状態を保つようにします。
- 外装を洗車し、ホイールやガラスをきれいにする
- 車内シートやフロアマットを掃除機で清掃する
- 整備記録(整備手帳)や車検証を準備しておく
これらの準備をすることで、査定士に「大切に扱われていた車」という印象を与えられます。きれいな状態の車は査定額アップにつながりやすいので、売却前にできる限り整備・清掃しておきましょう。
査定額交渉のポイント
査定額を上げるためには上手に交渉しましょう。複数の査定見積もりを持ち込み、なるべく高い金額を提示してくれた業者を交渉材料に使います。特に買取では一度成約すれば現金が受け取れることを強調し、即日売却などの条件を提示して査定額の上乗せを依頼する方法も有効です。
また、査定士の目に魅力的な点をアピールするのも効果的です。
- 複数の買取店の見積書を提示して交渉する
- 即日売却や現金手渡しなど条件を付けて査定額アップを依頼する
- カーナビや本革シートなど装備の良さをアピールする
自信を持って希望額を伝えたり、査定結果に疑問があれば理由を聞いてみたりすることもポイントです。これらの交渉術を用いれば、下取り価格との差額を埋めるチャンスが増えます。
まとめ
下取りも買取も一長一短があるので、どちらが自分に合っているか選ぶことが大切です。
一般的に、売却価格を重視するなら買取業者を利用するのがおすすめです。ただし、査定額は車種や状態、市場動向などによって幅がありますので、ディーラーの下取り価格だけで判断せず、できるだけ複数の見積もりで比較しましょう。
買取と下取りで差額が出た場合は、その金額だけでなく差が生まれた理由を知ることも重要です。
最後に、車を売却する際は本記事で紹介したポイントを参考にして準備・交渉を行ってください。
これらのコツを押さえることで、愛車をより納得のいく価格で売却し、新たなオーナーに気持ちよく引き渡せるようになります。
【ポイント】調査によれば、買取を利用する場合、ディーラー下取りより平均で20~30万円ほど高く売れるケースが報告されています。複数業者の査定を比較すると、同じ車でも大幅に高い価格で売却できる可能性があるため、下取りだけに頼らず積極的に買取査定も検討しましょう。