自動車保険料が増額…。2024年〜2025年にかけて、原材料費高騰や交通事故件数の増加、自然災害の激甚化などを背景に、多くの保険会社が自動車保険の保険料引き上げを実施しました。
いざ契約更新のタイミングで「保険料が高くなった」と驚く前に、今こそ保険内容を見直すチャンスです。
本記事では、自動車保険料増額の原因と増額された場合の対策をわかりやすく解説します。
自動車保険 増額の原因と背景
自動車保険料増額は、社会的・経済的な要因が大きく関係しています。近年、世界的な物価高騰で車両部品の価格や修理工賃が増加し、それに伴って保険金の支払い額も膨れ上がっています。
また、新型コロナウイルス禍収束後の交通量増加で事故件数が本格回復し、保険会社全体の支払総額を押し上げています。このような背景から、多くの損保会社が2024年以降に保険料引き上げに踏み切りました。
自動車保険は相互扶助の仕組みで成り立っています。つまり、契約者全員の保険料を積み立てて事故に備えているため、事故が増えたり修理費が高騰したりすると保険料に反映されます。損害保険料率算出機構が示す参考純率の改定も、保険料増額につながります。
以上のように、社会情勢や車社会の変化が保険料の増額につながっているのです。
物価高騰で部品費用が増額
世界的な物価高騰は自動車保険料に直接影響します。部品価格や整備工賃が上がると、事故時の修理費用も膨らみます。
特に最新型の車は安全装備が充実しており、交換部品が高額になる傾向にあります。これらのコスト増は保険会社の支払総額を引き上げ、結果的に保険料の増額要因となっています。
交通量増加で事故件数も増加
コロナ禍の収束後、通勤や外出の機会が増えたことで交通量が回復しています。交通量が増えるほど事故発生のリスクも高まり、物損事故や人身事故の件数が増加しています。
事故件数の増加は保険会社が支払う保険金総額を押し上げます。その結果、各社は収支バランスを保つために保険料率を見直す必要が生じ、契約者の保険料は上乗せされます。
損害保険料率見直しの影響
損害保険料率算出機構が公表する参考純率の改定も保険料増額につながります。同機構は毎年、事故データや支払い実績をもとに料率を見直しています。
例えば、近年は参考純率の上昇が発表されており、これに伴い保険会社各社も保険料を改定する動きがあります。損害率の悪化や参考料率の見直しは、最終的に契約者の保険料を押し上げる要因になるのです。
無事故割引・事故有係数の仕組み
自動車保険には「無事故割引」があり、無事故で継続すれば翌年の等級が上がり保険料が割安になります。
一方で、事故で保険を使用すると「事故有係数」が3年間適用され、保険料が割高になります。
例えば、10等級のドライバーが事故で保険金を活用すると、3等級ダウンして7等級になります。さらに翌年から3年間は事故有係数が適用されるため、無事故時に比べて保険料が大幅に高くなります。この仕組みも、更新時の保険料増額要因となります。
事故や更新で保険料が増額する理由
契約更新時に無事故であれば等級が上がり保険料は割引になりますが、事故や契約内容の変更があると保険料が増えることがあります。事故で保険を利用すると等級が下がって保険料が大幅にアップします。
また、違反歴の申告や若年ドライバーの追加など、契約条件を変更するとリスクが上昇し保険料が上がる場合があります。
車両を新車に買い替えたり、車両保険を手厚くしたりすると、料率クラスの変更に伴い保険料が増額されることがあります。更新時は契約書を確認し、事故歴や運転者情報に応じた最適な補償内容になっているかが重要です。
交通事故で等級ダウン
事故で保険を使用すると更新時に等級が下がり、保険料が大きく増額されます。例えば、他の車両や公共物への衝突事故の場合、一般に3等級ダウンとなります。
さらに、等級ダウン後は3年間事故有係数が適用されるため、その間は通常より保険料が高くなります。更新時に事故歴がある場合は、保険料アップへの影響に注意が必要です。
年齢や車種変更による保険料変動
契約者の年齢や車種が変わると保険料も変動します。例えば、若年ドライバーの割合が増えると事故リスクが高いとみなされ保険料は上がります。逆に年齢を絞ると保険料は下がりますが、高齢者になると再度上がるケースがあります。
また、車両を高級車やスポーツカーに買い替えると、料率クラスが上がるため保険料が高くなります。料率クラスは事故リスクの高い車種ほど高く設定されるため、更新前には車種登録情報が正しいか確認しましょう。
運転者追加や条件変更の影響
契約の運転者条件を変更すると、保険料に影響があります。たとえば、運転者の範囲を広げると(同居家族以外を含めるなど)リスクが上がると判断され、保険料は増加します。
逆に「本人・配偶者限定」といった運転者限定特約を設定すると、その分保険料が割安になります。更新の際は運転者の範囲や年齢条件を見直し、不要な変更がないか確認しておきましょう。
保障内容を増額したときのメリット・デメリット
自動車保険の保障内容を増額すると、事故時の補償範囲が広がるため安心度が高まります。補償額が大きいほど自己負担額は減り、事故対応時に負担が軽減されます。
一方で、補償を充実させるほど保険料は高額になります。必要以上に手厚い補償は保険料に反映されるため、ライフスタイルや車の使用状況に合わせて適切な補償額を設定することが大切です。
充実補償で万が一に備える
補償内容を増額すると事故やトラブル時に受けられる補償範囲が広がります。例えば、車両保険を手厚く設定すると修理費用や代替車両費用に幅広く対応でき、自己負担を小さくできます。
同様に、人身傷害保険や搭乗者傷害保険の補償額を上げれば、事故での治療費や逸失利益も保険でカバーされる範囲が広がります。万が一のときの備えとして、補償を充実させるメリットは大きいです。
高い保険料負担のデメリット
一方で、充実した補償には高い保険料負担が伴います。例えば、車両保険の免責金額を低額に設定したり、補償範囲を広げたりすると保険リスクが高まり、保険料も上がります。
自分の車や家計に見合った適正な補償額を設定しないと、必要以上の出費が無駄になります。補償の増減は年々の負担に影響するため、費用対効果を考えて判断しましょう。
ライフスタイルに合わせた補償設計
保険を増額する際は、自分のライフスタイルを考慮することが重要です。走行距離や使用目的(通勤・レジャーなど)に合わせて、無駄のない補償を選びます。例えば、車両保険付きで頻繁に長距離を走るなら手厚い補償が必要ですが、乗る機会が減った車や古い車ならローコスト型に切り替える選択肢もあります。
また、免責金額(金額固定の自己負担)を調整することで保険料に差が出ます。免責金額を大きく設定すると保険料は安くなりますが、事故の際の自己負担が増えるので、経済状況と相談して決めましょう。
保険料増額後の見直しポイント
保険料が増えたと感じたら、まず契約全体を見直しましょう。現在の補償内容が必要十分か、不要な特約が付いていないかを確認します。例えば、車両保険や弁護士費用特約など、重複していないか検討し、不要なものは外します。適正な補償設定なくして節約はできません。
さらに、他社の見積もりを取って同条件で保険料を比較する方法も有効です。インターネット割引や複数台割引といった制度が適用されているかを確認し、割引を最大限活用できる保険会社を選びましょう。
補償内容や特約の再確認
まず契約内容を細かく見直します。現在付帯している特約(例:ロードサービス、弁護士費用特約、SOS事故対応など)が本当に必要なものかを検討しましょう。不要と判断する特約があれば解約します。
また、保険金の設定額が過度でないか確認します。補償上限を下げたり、車両保険の免責金額を引き上げたりしてもよいかを検討すれば、保険料が軽減できる可能性があります。
他社見積もりで保険料を比較
更新前に複数社の見積もりを取り、保険料を比較しましょう。同じ補償条件でも保険料は会社によって大きく異なります。インターネットの一括見積もりサービスや代理店の無料相談を利用して、見積もりを再取得すると新しい選択肢が見えてきます。
乗り換えによって割安なプランが見つかる場合がありますので、更新前には必ず他社も検討しておくことをおすすめします。
インターネット割引の活用
保険会社の割引制度を見直しましょう。特にインターネット割引は、ネット契約で適用されるケースが多く、大きな割引効果があります。更新時にネット型保険への切り替えを検討すると、保険料をかなり削減できる可能性があります。
ほかにもゴールド免許割引や安全運転割引など、利用できる割引がないかをチェックし、契約時に確実に適用します。
複数台割引や団体割引の利用
家族で車を複数所有している場合は、補償主体をまとめることで「複数台契約割引」が適用される保険会社があります。同時期に複数台の保険契約を更新すると保険料が割引されます。
また、勤務先や特定の団体・クレジットカード提携などで受けられる割引制度があるか確認しましょう。これらの割引を組み合わせることで増額分を相殺できる可能性があります。該当する割引制度があれば、更新時の申請漏れがないか念入りに確認してください。
保険料増額を抑えるコツ
保険料を抑えるための基本は、安全運転を継続し無事故割引を維持することです。1年間無事故で更新すれば等級が上がり、保険料は割引になります。
また、運転者限定特約で運転者の範囲を絞ると保険料が安くなります。例えば「本人・配偶者限定」という限定特約を追加すれば、運転者の対象範囲を狭めた分だけ割引が受けられます。こうした割引制度を活用し、運転者情報も実態に合わせて更新しましょう。
免責額の設定を見直す方法も有効です。免責額を高めに設定すると保険料が抑えられますが、事故時の自己負担額も増えるため余裕を持って検討します。家族で複数台所有する場合は「複数台割引」を利用し、勤務先や団体の保険割引なども活用しましょう。これらを組み合わせて活用すれば、保険料の負担を大きく減らすことができます。
無事故割引を駆使し等級を上げる
無事故割引を有効活用し、安全運転を心がけることが何より重要です。1年間無事故で契約更新すれば等級が上がって保険料が下がります。
また、ゴールド免許や安全運転割引が適用できれば追加で保険料が割安になります。
したがって、日頃から交通ルールを厳守し事故リスクを減らすことで、長期的に保険料負担を抑えることが可能です。
運転者限定特約で割引を得る
運転者限定特約を利用すると保険料を節約できます。「本人・配偶者限定」や「家族限定」など、運転可能な人の範囲を狭めることで保険料が安くなる場合があります。
自分以外に運転する人がいない場合は限定特約をしっかり活用し、余計なリスクを省くことで保険料を下げましょう。
免責金額を増やして保険料削減
免責金額(自己負担額)を高く設定すると保険料を抑えられます。ただし、事故発生時の自己負担額が増えるリスクがあります。免責金額を上げることでその分保険会社の支払いが減るため、保険料が安くなります。
例えば、免責金額を5万円から10万円に上げると、毎月や更新時の保険料が安くなります。安全運転に自信がある場合や貯蓄の余裕がある場合に検討しましょう。
複数台割引や団体割引の利用
家族で車を複数所有している場合は複数台割引を活用しましょう。同時期に複数台の保険を契約すると保険料が割引される制度があります。
また、勤務先の団体保険や業界団体の契約、クレジットカード提携などによる割引制度があるか確認し、利用できる制度は積極的に活用します。これにより保険料の増加分を相殺できる可能性があります。
まとめ
自動車保険料の増額は、物価高騰や事故件数の増加、参考料率の引き上げなど、社会情勢や車社会の変化が複合的に作用しています。保険料が上がったと感じたら、補償内容や契約条件を見直し、安全運転を継続することで無事故割引を維持することが重要です。
契約更新前にはインターネット割引や複数台割引など各種割引を確認し、他社比較も行いましょう。
各ポイントを実践すれば、増額分の負担を軽減できるはずです。
今すぐ保険内容をチェックし、不必要なコストを抑えた最適な契約を目指しましょう。